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やりました!わいわい、まりちゃん。
ショパン国際コンクールinAsia全国大会小学1,2年部門で銀賞受賞!アジア大会に進出です。年末にバッハコンクールで藤田貴舟子さんが優秀賞受賞!に続いて嬉しいニュースです。
今日はまりちゃんはレッドドレスで登場。会場は新百合ヶ丘の昭和音大ユリホール。レッドは勝負の色というけれど、よくお似合い。それにきれいな音で、いい音楽をしている。音楽が旋律ラインから溢れ出るよう。
どうしても贔屓目に聴いてしまいがちですが、まりちゃんのすぐ前の女の子ちゃんも、コントルダンスをとても優雅に美しく弾いていましたから、よい演奏はやはりよいと聴こえるのです。
 
今日の全国大会に先立って、まりちゃんはヤシンスキ教授のレッスンを受講しました。

Andrzej Jasiński (pianista) – Wikipedia, wolna encyklopedia

https://pl.wikipedia.org/wiki/Andrzej_Jasi%C5%84ski_(pianista)
これは一大イベントです!
世の中は変わり、ツィメルマンを7歳から指導しショパン国際コンクール優勝に導いたアンジェイ・ヤシンスキ教授のレッスンを、小学2年のまりちゃんが受講できるようになったのです。
ところは池袋スタジオノア。1月5日(土)のことです。
狭いスタジオに、ヤシンスキ先生、伊達パパとママ、まりちゃん、私の総勢5名がひしめき合うようにピアノの周辺に立つか座るかして、どうにかおさまりました。
さぁ、ではスタート。
「今日は何を弾くのかな?あぁ、このワルツだね。この曲の他に何を弾いているのかな。バッハとか、練習曲とか、なんでもいいからこれ以外の曲を弾いてごらん。」
「シ~ん」
まりちゃんは必死にママや私に助けを求め、すがる眼つきをするも、私たちもなす術なし。
「いえ、あの、いつもはこの曲以外に、チェルニーとか、バッハとか、えぇーとそれからスケールとか分散和音なども弾いてます。」とフォローにまわる私。
「そうか、それはいいね。ではバッハ弾いてごらん。」
「シ~ん」
「じゃ、スケールなら弾けるね。どうかな。」
「(まりちゃんの手は、むなしく鍵盤上を右往左往する)」
「なんでもいいのよ、C-durでいいから。ドレミファソラシドよ。(と叫ぶわたくし)」
「(右往左往。状態変わらず)」
穴。穴。あれば入りたい。
「じゃ、E-durがいい。一番らくにきれいな手の形で弾けるスケールだからね。」
「(まりちゃん、頑張って両手でミから弾こうとするも、こんがらがってアウト。)」
「こうだよ。次の指はこうやって黒鍵を弾くんだよ。」
「ミ~ファ♯~ソ(まりちゃん、果敢に挑むもソは黒鍵からずり落ちる。)」
失神しそうな伊達パパとママ。
イカン。。。。
どう考えてもこんなことではいけません。
「じゃ、今度はこれをまねしてごらん。(ヤシンスキ先生弾き始める。)ドレミファーーソファミレーー~、これは中でいちばん単純な頭の体操練習だよ。」
出ました!恐怖の頭脳トレ、ヤシンスキメソード。
それはどのようなものかというと、ハ長調のオクターブのポジションから始める頭脳トレで、右手がリズムをつけて先行し、左手が違うリズムで追いかける。その他様々な、100通り以上の複雑なリズムと音の組み合わせを使った、超絶思考力養成『音階遊び』です。
「ドド、ド、どれ、ドドーー」(まりちゃん、ぜんぜん出来ない。)
「違うでしょ、右からでしょっ(ほとんど金切り声のママ)」
それでもあきらめずに、まだ続けるヤシンスキ先生。なんて有難いことでしょうか。
「ドレミ、次っ、左手っ、ほらっ、すぐよっ、今度は右っ!」(と、これまた金切り声のわたくし)
「よし、それでは今度は即興をやってみよう。いいかい、僕に続いてごらん、メロディしりとりだよ。」
ミレドレミソミ~
「どんなモチーフでもいいんだよ。続けてごらん。」
「・・・(また必死にすがる眼差しをわたくしたちに向けるまりちゃん。指はまったく動かず。」
それでも少しも手をゆるめないヤシンスキ先生。
ソーミソファラソ~
「続くメロディはこんなのどうかな。」
シラソレミレド~
さすがにあきらめて、ひとりメロディしりとりを始めたヤシンスキ先生。
イカン。
わたくしの指導に大いに責任ありです。
「じゃ、こんな即興はどうかな。鳥のさえずりをやってみようか。まねしてごらん。」
バスの音をベースに、短いトレモロ状の鳥のさえずり♬♬♬♬♬~を弾かれる先生。対するまりちゃんは、
「シ~ん」
またもや、ひとりで2匹のさえずりを弾くしかないヤシンスキ先生。
いえ、よく解釈すれば・・・
こうやるんだよ、とサジェスチョンして下さっているのです。いつかはこうできるようになるんだよ、と。
「それじゃ、ワルツにいこう。弾いてごらん。」
はぁ、やっとワルツ。もうすでにレッスン時間の半分は過ぎています。
まりちゃんが弾いたのは、ショパンワルツヘ短調Op.70-2。
「ブラボー。これはとてもいい。自然で濁りのない澄んだきれいな音だね。自分の音楽だ。ブラボー。」
まりちゃんの名誉のために言うのですが、まりちゃんはこのところ、自分の音楽ができるようになったと私も思っているのです。ヤシンスキ先生も、まりちゃんの手から、体から流れ出る、自発的な音楽を褒めて下さっているのです。
細かい奏法について、装飾音の合わせ方、流れをもっと持たせることなどのアドバイスも頂きました。
さらに。。。
「ここのバスを弾いてごらん。メロディとバスだけで弾いてみよう。できるかな。」
まりちゃん、これはパーフェクト!
「じゃ、今度は右手のメロディと、左手の2,3拍の和音だけひいてごらん。」
これもパーフェクト!
なにせ、レッスンで一緒によく練習したのです。やっておいてよかった。
ヤシンスキ教授がされるレッスンは、このコンクールで賞を取るためではない。ショパンのワルツを通じて、ピアノの奏法を知り、素質を伸ばし、将来に渡って奏でる音楽の質を上げるためのレッスンです。
「コンクールではこれまでの弾き方で弾くのがいい。今日の僕の注意は、将来に生かせばいいよ。」
そう仰ってまりちゃんを送って下さったヤシンスキ先生。
まりちゃんは、ヤシンスキ先生からたくさんの未知の音楽を吸収できたはずです。
その日全部のレッスンを終わってから、先生と小早川朗ちゃんとわたくしと3人で、池袋のデニーズでなんと11時前までおしゃべりしてしまいました。びっくりするほど、アッという間に時間がたちました。
突然先生が「今何時になる?僕は11時に娘とスカイプする約束だったよ。」
「えっ!? すぐ行かなくちゃ。」とあわてて目白のホテルへ3人で向かいます。
途中、階段があると私の重たいカートを必ず持ってくださいます。
「いいんです、いいんです、大丈夫です。自分で持ちます。」とわたくし。
「女性の、いいです、いいです、というのは、実はまったくウソだとよく知ってるよ。」と先生。
なんてよくご存じ!
ホテルに到着して、ここでまたさらに騎士道精神を発揮するヤシンスキ先生。
お別れしようとすると、
「男性が送るべきなのに、きみたち女性二人に送ってもらったのではかっこうがつかない。だから僕がまたせめて改札まで送るよ。」
えっ、それではお送りした意味が。。。
「いえ、もうなんでもいいからお部屋でスカイプをなさって下さいっ。」
そしてやっとお部屋に上がって行かれたのでした。
楠原祥子
 
 
 
 

 
 
 
 
 

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