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頑張って書いたエチュード論!

題材は、モシュコフスキの「16の技術エスキス集」から第2番イ短調の練習曲です。ムジカノーヴァ9月号(8月20日発売)に掲載されます。

モシュコフスキのエチュードについて書くにあたって、18世紀終盤から19世紀始めにかけてピアノが急速に発展した時代のクレメンティやクラーマー・ビューローの練習曲集、そしてピアノを目指すなら誰でも弾くチェルニー30番、40番、50番などひと渡り俯瞰してみました。

2年前から桐朋でもエチュードについては特別に時間をかけて学生と取り組んでいます。

エチュードとプレリュード(前奏曲)のソースはほぼ同一で、両方ともに24の調性がピアノで確立された時期に量産されたのです。

もっと時代を遡れば、バッハの平均律も「よく調律されたクラヴィア」のための練習曲ですし、スカルラッティのソナタも名前こそ‘ソナタ’とつけられているけれども練習曲です。

バロック期の練習曲と19世紀以後の練習曲はまったく別のもので、19世紀以後の練習曲は、小さなフィギュレーションの反復によって成り立っています。

小さなフィギュレーションは、ピアノ曲を構成する技術の一つが使われて、とにかくそれをひたすら反復する。

例えば、音階、分散和音、トレモロ、半音階、指返し、3度、6度、オクターブなどの技術を、とにかく繰り返し繰り返し弾くことで、ピアニストの身体に取り入れてしまう。

それは技術と詩情が一体化してステージ上で演奏するエチュードになっても変わることはありません。

ショパンエチュード、リストの超絶技巧練習曲集、パガニーニの練習曲集などどれにも共通しています。

モシュコフスキのエチュードと言えば、ピアニスティックで極めて響きの美しい曲。特に15のヴィルトゥオーゾエチュード集は難易度も高く、ロシア人ピアニストたちはステージでも弾いているくらいです。

今回私も調べてみて驚いたことがいくつかありました。

まず、モシュコフスキの16の技術エスキス集が出版されたのは20世紀に入ってから、もうガーシュインやプーランクが活動を始めていた時期だということ。

それから最晩年になってからエクササイズとしてのエチュード集を作曲したこと。これも驚きでした。

現在行われているショパン国際コンクール予備審査でのエチュード課題曲にも触れました。

ムジカノーヴァ9月号8月15日発売です。私の力作、読んでいただけましたら幸いです!

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