ショパンコンクール審査員海老彰子さんに聞く 楠原祥子
今日はショパンコンクールファイナル最終日。
まさに今、発表は今か今かと待っているところです!
午前中、審査員をされている海老彰子さんのお話を聞きしました。青柳いづみこさんもご一緒に3人で、
・演奏について、・選出について、・審査について、・審査員について、・楽器について
など、次から次へとオープンに話を交わしました。
第3次予選の審査までは、審査員はそれぞれの出場者に対して、次に進めるかどうか、〇か×かをつけます。
ファイナルだけは、10名の出場者に対して審査員は自分の考える順位をつけます。
ヤシンスキ教授、海老さんともに、毎回の審査で2,3人は自分が×をつけた人がその先に進出しているとおっしゃっています。このことからも審査員それぞれに違う好み、センスを持っていることが明らかです。
例えば、ラトヴィアのOsokinsのことを、エヴァ・ポブウオツカは非常に高く評価したが、海老さんはそう思わなかった、など当然芸術性について意見の相違は出てくるということです。
今回YAMAHAピアノを選んだコンテスタントが増大し、それによって結果的にSteinweyが減りました。ShigeruKawaiも健闘。しかし今回、FAZIOLIを選んだコンテスタントはたった1名で、しかも第2次予選以後は誰も弾く人がいなかった、という番狂わせが起こりました。
ピアノを途中で変えるコンテスタントもいます。実際海老さんが1980年のコンクールに出場した時、ファイナルで楽器をSteinwayに変えたくなったそうです。その方がオーケストラと合わせたときに音がいいのではないか。。。と心に迷いが生じたからで、それは愚かな決断だったと仰います。
今回、Kate Liu(アメリカ)が第3次までYAMAHAで演奏したのに、本選はSteinwayに変えました。しかしこのことは、決して先生のダン・タイソンが圧力をかけたりアドバイスをしたわけではなく、あくまでも彼女の下した決断だったそうです。
コンテスタントにとって、ピアノ選びは、単に楽器の響きの良さで選ぶわけではなく、正確には‘’ピアノ会社‘’選びということになり、そこには微妙にさまざまな要素が絡み、慎重にならざるを得ないということでしょう。
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