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9月6日、カワイ千葉でショパンマズルカ全55曲レクチャーコンサート第1回を行いました。店長の田中さんは、日頃積極的に千葉のピアノ音楽の発展のために力を尽くして下さっており、また新たに福井さんが加わり、お仕事にも幅がでたとのことです。お二人と話していると笑い転げずにいられません。。。!

さて、今回使わせて頂いたのはShigeruKawaiのSK-5、低音に深みがあるのが強みです。

今回は、演奏の部分と、プロジェクターを使ってKey Noteで作成した画像60枚弱を見せながらのレクチャーの部分と二つを分けて行いました。

マズルカは全部で55曲あります(ヤン・エキエルによる)。版によってはそれに数曲足されている場合もあります。これらはショパンが祖国ポーランドにいた若き青年時代から、パリで39歳で逝去するまで、折に触れて書き綴られ、人生のさまざまなステージがそこはかとなく曲想に反映されています。

またエキエルは版を編纂する際に、それまで出版されていた版とは一線を画し、作品33や41は曲順を是正し、作品6と7は曲数も修正しています。

ショパン作品を研究し尽くしていましたが、そのエキエルですら、遺作ヘ短調のマズルカをショパンの人生最後の絶筆のマズルカだと信じていて、実はその曲は絶筆ではなかったことが近年わかっています。これ以上の変動はないと見極めていても、何かしら新たなことが見つかるのは驚きです。

ごく初期の舞踏色の濃い遺作のマズルカは、踊りの光景やリズムがパノラミックに音とリズムに込められていて、それらを表現する楽しさがあります。実際いくつかはその曲にのって踊られたのでしょう。

土着の民俗歌舞踏としてのマズルカは、ショパンの美しいマズルカを知っている私達の意識から遠くかけ離れていて、私も初めて農村で歌われるマズルカ??らしきを聞いた時は、これって音楽??と正直なところ戸惑いました。

これもよく使われる例ですが、王家の晩餐会で供されるヴィシソワーズ(ジャガイモの冷製スープ)を銀のスプーンで口にする時、どこかの畑にころがる土にまみれてゴツゴツしたジャガイモから作られたとは、もう誰も想像もしないでしょうし、結びつきすらしないでしょう。

それと同じことが、いわゆる農民たちの土着のマズルカとショパンのマズルカにも言えるのです。

その観点からいけば、ショパンのマズルカは、私達の感覚にフィットした芸術音楽になっているし、変わりやすい気まぐれとさえ言えるほどに変化する曲想も、洗練されたクラシック音楽の領域の中にあるわけで、決して怖がるに及ばずです。

今回演奏したマズルカは以下の20曲です。

遺作 /ハ長調、/イ短調、/ト長調

>/4つのマズルカ作品6、/5つのマズルカ作品7から1、/4つのマズルカ作品17、/4つのマズルカ作品24、/4つのマズルカ作品30

私自身がこれらの中で最も愛着があるのは……作品30の4つのマズルカです。

哀愁を帯びたクヤヴィアクで始まり、2曲目は2小節ごとに交代する強弱、方向性の変化が特徴。3曲目は現実的な田舎の踊りから入るのに、途中で実と虚の世界を行き来し始める。ショパンのマズルカ創作はこのあたりから大きく進展しています。4曲目は様々な光景のコンビネーションで、踊りもあり、民俗楽器の伴奏が入る農村の歌もあり、村人たちの集まりあり、といったヴァラエティに富んだ規模の大きな曲。

作品24は、ヤシンスキ教授の門下、ツィメルマンはじめヤブウォンスキなどみんながこれをレパートリーにしています。そして私のお気に入り作品30、作品33は中期の傑作揃いです。

レクチャーについては、2点にポイントを絞って行いました。

1、マズルカ作曲の源泉 ショパンが14歳と15歳の夏休みに過ごした田舎の地方で初めて耳にした、農村の音楽やユダヤの旋律について。

2、ショパンが使った主な3種類マズール、クヤヴィアク、オベレクの特徴 演奏する上でどうしても知っておくべき、これら3種類のマズルカリズムを持つ民俗歌舞踏について

これらをKeyNoteを使って作成した60枚弱の映像でお見せしました!

次回第2回は11月22日です。後半のマズルカをお聴かせします。よろしかったら次回もどうぞお越しください。

ご来場をお待ちしております!

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