三善晃ピアノコンクール東京予選審査!
12月23日。2年に一度開催される『三善晃ピアノコンクール』東京予選は、いつもこの日、表参道カワイのコンサートサロンパウゼでと決まっています。
第11回三善晃ピアノコンクール東京予選は、桐朋の作曲科准教授の森山智広先生、Miyoshiピアノメソードアドバイザーの田中貴子先生、そして私の3名で審査します。役目は対等ですが、一応私がチェアマン。
昨今のコンクールの例にもれず、このコンクールもけっこう複雑に部門分かれしています。
まず基本はMiyoshiピアノメソード第3巻〜第12巻です。それら1巻ずつ部門が分かれており、それぞれの巻から2曲ずつ課題曲として弾きます。それ以外に自由曲を1曲。
年齢制限はないのが特徴で、例えば小学3年生でもチャレンジ精神を持って第10巻以上の部門に挑戦しても構わないし、または逆パターンもありです。
そして特別部門もあります。三善晃作曲『ピアノソナタ』、または『アン・ヴェール』、または『円環と交差』を弾く部門です。それとバッハ平均律などを弾きます。
その他に【1曲部門】もあります。Miyoshiピアノメソードを弾いてみたいけれど、初めてなのでまず1曲にチャレンジ、というエントリー部門です。
審査方法は、これも昨今の傾向に合わせて、Yes またはNoをつけます。本選に進めて良いと判断したらYes。よくなければNo。副次的に点数もつけますが、これはあくまでYesの数が同じ出場者が、制限人数より多くなってしまった場合だけ参照します。
ワルシャワのショパン国際コンクール、ピリオド楽器ショパン国際コンクールともにこの方式を採用しています。
三善晃の作品はほぼすべてポリフォニーの書法で書かれています。今年の出場者は、上手くてもそれほどでなくても、ポリフォニーを自然に捉えて演奏していたように感じました。
特にバッハを弾くように、それを強調するわけでなく、全体像や自然な流れを重視した演奏が多かったように思います。逆に言うなら、ポリフォニー的な楽曲の分析が緻密になされていなかったとも言えます。
特別部門は審査の難しさを感じさせられました。
見事にソナタの1楽章を弾いていたのに、1ページ以上も途中すっ飛ばした。かと思えば、3楽章を選んでポテンシャル大と感じさせ迫力で迫ってくるけれど、いかんせん情熱に身をゆだね過ぎている。
そういったいわば「規格外」あるいは「珍品」をどのように対処するか、なかなかの考えどころでした。
コンクールを審査するのはAIではない、私たち人間なので、そこでミスした音の数を計算してyes、Noを下す訳ではない。演奏の間共有した時間に、どれだけ心も共有することができたか、これも判断の大きな基準になるということです。
結局3名で、最終的に納得できる結果を出すことができた東京予選でした!
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