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急に過ごしやすくなったこの数日。少し窓を開けたままでいると、モズのような「キュィッ」という鳥の鳴き声が庭から聞こえてきます。
日本の夏がずっとこうだったらどんなにか過ごしやすいでしょうに。花も暑さで休止することなく咲き続けるでしょうに。庭の木々も色褪せないでしょうに。。。。とたくさん仮定法を並べ立ててみます。
しかし現実は違い、何かしらに欠乏感があって、それが事の原動力となっているのも事実です。
さて。。。
千葉音楽コンクールの第2次予選審査が、台風のために延期になったものの17日に終わり、生徒さんたちの夏のコンクールが一区切りつきました。
ゆうすけくんは、ブルグミュラー「貴婦人の乗馬」と平吉毅州「南の風」という難易度の高い2曲を弾き、安定した演奏で本選に進みました!やれ、本当によかった。
ディテールの美しさや湧き上がるような音楽性よりも、揺るぎない安定性と全体像の把握という点で優れていたと感じました。
10月の本選に向けてこれからが正念場です。
全員の演奏を聴いて、おぉぉっ、これは!と思う子もいました。これで小学2年かと目を見張ります。
課題はブルグミュラー25の小曲集より1曲と、自由曲。
様々な選曲があり、ブルグミュラーの平易な1曲と高度な自由曲という組み合わせも多く、自由曲に演奏時間を取って重点を置くという姿勢が明らかです。
例えば、クレメンティ「ソナチネト長調」、ギロック「ソナチネ」第3楽章、ギロック「ウィンナ・ワルツ」、カバレフスキー「ロンド・トッカータ」、WFバッハ「ブーレ」といった曲は、1,2年生で弾きこなすには、もちろん上手でなければ選曲の候補にすら無理です。
5,6年生部門では、曲目から学生音楽コンクール小学生部門を準備していると思われる出場者が、やはり聴きごたえある演奏でした。
高校生部門になると、自信と実力が固く結びついていることが如実に表れます。課題曲はバッハ平均律と、ショパン、リスト、ラフマニノフなどのエチュード。
自分の前の出場者は往々にして上手に聴こえるものですが、そんなことにはビクともせず、「ワタシの方が上をいくのよっ。」といわんばかりの強さを見せる出場者がその先に進んでいきます。
お互い小さい頃からどこかのコンクールで一緒に出場してきて、友達だし相手の実力も知っていることも多いはずです。
「チャイコフスキーコンクール」という中村紘子さんの著書にある、上手い出場者はステージに姿を現した瞬間からわかる、というくだり。動作や表情に実力が現れるとあります。
例外はあれど、それは事実なのだと感じるものがあります。
ご一緒に審査にあたった上原興隆先生、鹿野明子先生、そして大盛り、いえ、大森文子先生との音楽界四方山話は、審査を抜きにして何をおいても楽しいものでした。
大御所の大森先生は価値観がはっきりしているので、思い込みと決めつけがとんでもなく面白いのです。こんなこともはっきり言えるのは、直接指導を受けたことはないものの、桐朋学園子供のための音楽教室で学んだ時代から、成長を見守って頂いた有り難い先生だからこそです。
 
夏のコンペの代表格、ピティナコンペA1部門では、まりちゃんが2回本選優秀賞を取りました!
全国大会には0.04差でしたが、まりちゃんはこのコンペを通してとても努力し、本当に上手になりました。届かなかったという欠乏感がまりちゃんにあるかどうか、あったとしても、それを上達という形に変えてもう充分生かしたと思えます。
コンペの課題曲は、まりちゃんが今弾いているものからすると平易な2曲ではありましたが、単純な曲だからすることがないというのは間違いで、逆に単純だから思いつきや発想をすぐに音で表現でき、しかもすぐに身につきます。
またご両親の厚い(熱い?)サポートや協力体制は、どれほどの心強さをまりちゃんにもたらしたでしょうか。チーム力をもってコンクールに臨むことが不可欠なのですから。
みさちゃんはB部門で本選に進みました。みさちゃんはママがピアノを弾くので、それを聴いて育ったからでしょう、素質豊かです。いろいろ弾いてみたいですぅ〜、という時のみさちゃんは、顔の表情はあまり変わらず飄々としているけど、目の奥に光彩がキラリ!
その他、まゆこちゃんもあいりちゃんも、1回目から2回目の予選にかけてぐっと上達して点数も一気に上がりました。これこそ意義あるコンペの利用法ですね!
これらみんなの頑張りあって、私はピティナ指導者賞を初めて頂きました。何十回も受賞している大御所先生方も少なくないので、「えっ、その年齢で初めて??!」という声も聞こえそうですが、いいの、何でもお初は嬉しいものだし、励みになります。
でも次は、表彰式には生徒さんと一緒に出たいです。。。が本音です!
楠原祥子

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