松山の審査の思い出
今年は審査のために沖縄と松山に行きました。
緊急事態の中ではありますが、コンクールはとても盛況で、音楽がコロナに奪われてしまわないように、そして誰もが音楽を心から奪わないで!と訴えているようでもありました。
どこかで音楽に救いを見出し、心の拠り所にしているのでしょうね。
松山の審査はとても時間的にはハードで、丸2日間朝は10時開始、夜の終了は20時30分頃というスケジュール。
でも審査員の仲間に恵まれて、本当に楽しい2日間でした!
こんなに気が合うのも滅多にないのではないかしら。「愛媛組」というライングループまで作って、今でも情報交換をしています。
珍しく男性3名、女性2名の構成。柏在住の岡部裕司先生とはずっと以前からの知り合いです。久々の再会。少しも変わらずで懐かしい限りでした。
大阪の山下泰夫先生は、ベルリン芸大時代にクラウス・シルデ先生に師事したそうで、数多いシルデ門下の日本人のお一人。5本指ソックスを履いていらしてなかなか可愛かったです。
井上光喜先生が今回の審査委員長。手際よくて責任感強そうで、他の4名はもう完全にお任せ状態。
そして九州は福岡から福本さちこ先生。とてもいい感じでご一緒できて本当に嬉しかったです。
審査はとてもスムーズに進み、会議で揉めるようなこともまったくなく、全部門きれいに数字で結果がでました。
打ち解けていると、審査員の点数を確認する時に、
「あっ、○○先生最高点9.5つけてる。すごいね!」
「うん、いいものはいいんだ!」
なんていう会話になったりします。
かと思えば、ベートーヴェンの某ソナタの演奏者に私がよい点をつけたら、
「え〜っ、あれはいかんでしょ。」
「えっ、どういうところが?」
「いやぁ、あれはやっぱりあんまりよくなかったよ。」
「え〜、それ言うならバルトークの方がまずかったでしょ。」
などと本音トークができるところがまた嬉しい。
ある部門で何十人か同じ曲を聴く時、判で押したように同じ解釈になっていることがあります。例えばリタルダンドのかけ方がまったく同じということがあるのです。
バルトークの「冗談」という曲。リタルダンドが3回出てきます。
最初のリタルダンドはpoco ポコ(少し)リタルダンドと書いてあって、2度めはリタルダンド、3度目になるとmoltoモルト(すごく)リタルダンド。
でもほとんどの演奏者は判で押したように、3回ともまったく同じモルト・リタルダンドで弾いています。まさか全員が同じ先生の門下ということはあり得ないでしょうに、これはどういうわけなのかしら。。。と疑問が頭をもたげます。
リタルダンドのかけ方は同じでも、やはり演奏の味わいは個々に違うもので、だから同じ点数しかつけられないということはありません。
どの会場もそうですが、やはりキラリと光る存在がそれぞれの部門にいて、どうしたらこんなに上手く弾けるのだろうか、と手を止めて、耳だけでなく全身の感覚をそばだてて聴くことがあります。
夢中になって聴いてしまうのでコメントを書く時間がなくなって、結局「ブラボー!」と書いて終わったりしてしまう。そのくらい素晴らしい演奏を聴くことができるのは何よりの喜びです。
このような状況下のコンペですから、審査員どうしどんなに打ち解けていても、お弁当は黙々と食べる『黙食』だし、打ち上げもないし、これまでのような楽しみというものは皆無ですが、それでも、音楽が与えてくれる喜びが大きいので、それで充分なのだと改めて思うのです。
この2日間、スタッフの方々の大変適切で、しかも心のこもった対応は素晴らしいものでした。
何度もホールと控室を行ったり来たりしますが、その度にきちんと角々で送り出して下さり、帰ってくる時は出迎えて下さり、一言必ず「よろしくおねがいします。」「お疲れ様でした。」と声がけして下さる。そう決められているのかどうかはわからないのですが、この一言がどれほど嬉しいことでしょうか。
「よろしくお願いします。」は闘いに向かう戦士よろしく気が引き締まります。
「お疲れ様でした。」は肩の荷が下りたようにホッとします。
スタッフの皆様との写真。この地区の支部長先生は桐朋の大先輩でした!
審査とは全然別の話ですが・・・数年前に松山に来た時、空港に降り立ったら、鶴瓶さんがいて、ファンの求めに応じて写真を撮っていました。
なんと、今回もまた偶然に鶴瓶さんは松山に来ていて、同じホテルに宿泊中でした!
鶴瓶さんの笑い顔ってほんとに福顔だよなぁ〜と、みんなで縁起物でも見たかのように有り難くその笑顔を拝ませて頂きました!
愛媛組審査員仲間での密なショット!
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