楠原祥子ピアノ・リサイタル 銀座ヤマハコンサートサロン
2018年3月20日(火)19時開演 楠原祥子ピアノリサイタル “流麗と躍動感 〜ダンスのエレガンス〜” ショパンからスクリアビンへ
ヤマハ銀座店コンサートサロンでのリサイタル、多くの方の拍手とお気持ちに支えられて終わらせることができました。
充実感があり、とても嬉しく思っています。ご来場下さったみなさま、誠にありがとうございます!
ショパンの延長線上として、ワルツやマズルカが世紀末ロシアで変貌を遂げていくのを表現しました。スクリアビンの色彩感豊かな独自の美は、とても魅力的で、今後も探求していきたいと思っています。
さて、ピアニスト稼業の基本中の基本は、『譜読みをしてレパートリーを作る』。
譜読みの原動力となるのは、よい曲に出会い、「この曲を弾きたいっ!」と心弾けることです。または。。。今回のように、妙なきっかけに出会い、その興味から弾きたい曲が見つかるということもあります。
今回のきっかけは。。。。こうでした。
ポーランド国歌と旧ユーゴスラヴィア国歌が同じメロディだと知ったのです。その時の驚き!
国歌が同じ???あり得ない。。。国歌とはその国の象徴で唯一無二のはずなのに。
ポーランド国歌「ポーランド、未だ滅びず」。通称ドンブロフスキのマズルカは、もともとナポレオン配下のイタリア駐留ポーランド軍の軍歌で、マズルカリズムを持ち、いかにも高揚感溢れる曲です。
ポーランド国歌 jeszcze polska nie zginęła Hymn Polski HQ (Stereo/www.youtube.com/watch?v=AJsWz9SlpfA
旧ユーゴスラヴィア国歌 Хеј, словени/Hej, sloveni/スラヴ人よ www.youtube.com/watch?v=6TJ6hJEda0M&t=12s
。
ぜひ上記のタイトルでYoutubeでお聴き下さい。歌詞はまったく違う意味を持ち、旧ユーゴスラヴィア国歌はリズムもいくらかやわらいでいます。
マズルカはポーランドだけのものと思っていたのに、実はもっと広がりをみせていた。19世紀にすでにスラブ圏全体に広がり、ドンブロフスキのマズルカはスラブの民族賛歌になっていたのでした。
それを知ってからは、マズルカをポーランドの砦と考えずに、ショパン後の他の作曲家のマズルカに足を踏み入れようと思いました。それがスクリアビンのマズルカです。
ショパンのマズルカは非常に写実的で、踊りのパノラマが見えるようです。しかしスクリアビンのマズルカは、初期の作品12はショパンを拾っているけれども、中期に近づき作品25ともなると、思索的で様々な響きを持ち始めます。
これからまた数曲譜読みをしていこうと思っています。
話は変わり、今回のサブタイトル “流麗と躍動感” についてのオハナシ。
これはヤマハ銀座鍵盤営業部の金澤さんがつけて下さったもの。昨年5月のショパン協会主催ショパンフェスティバルで、私のワルツの演奏を聴いて閃いたのだそうです。最初はちょっとびっくりしたけれど、でも嬉しかったです。
金澤さんは桐朋学園の担当。正確には、担当でした。銀座店の営業マンは各音楽大学の担当があります。
二番町のスタジオにペダル付き足台を届けに来て下さった時、実は金澤さんは芸大の声楽科卒業のバリトン歌手である、いえ、これも正しくはバリトン歌手だったというべきか、と話して下さいました。
ふむふむ。。背も高く見栄えも大変によろしいし、当然話し声も低めで魅力的だし、これではさぞやモテたでしょうね。そして栄えあるヤマハ銀座店営業マンに転身!
ところがその金澤さん、体調を崩され途中から休職されてしまいました。早い時期のご回復を祈念するばかりです。
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