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とても嬉しい結果だったと言えますね。第2位に反田恭平さん、第4位に小林愛美さん。

第1位のブルース・リュウは、3次予選の『ラチ・ダ・レム・ラマノ変奏曲』で一気に優勝を引き寄せたといえるでしょう。そしてファイナルの協奏曲でそれを確かなものにしました。

その音は魔術にかけたのかと思わせる響きで、いったいどうやったらあのマジカルな音が出せるのか、指や手の形からしてタッチを瞬間的にしてペダルを長く踏んでいるのではないかと思いました。

なるほど、オペラ大劇場で開催された入賞者演奏会でそれがわかりました。フィルハーモニーホールは残響がかなり長く、それがもたらす響きが素晴らしいですが、オペラは残響がとても少ない。そうすると音が裸になってしまうので、どんなタッチなのかがはっきり見えます。やはり瞬間的な細かいタッチを使う時にマジカルな音が出ることがわかりました。

ブルースはちょっと暗めの影がある俳優さんのよう。顔も身体も引き締まってかっこいいです。はたして、これからスター街道を走ることになるでしょうか。

だけど。。。ショパンコンクールの優勝者で、これまでブサイクだった人がいるかしら。みんな外見もいい。

ん?ダン・タイソン??? そうね、でも彼の音楽は素晴らしいですもの。その上今回のコンクールでは、このブルース・リウと6位のJJブイと、二人もがダン・タイソンの弟子!前回も3人も入賞者を出している。ダン・タイソンチルドレンと言われる強力な生徒たちを次々育てているのはすごいことで、当然審査員の中でも強い力を持っていたはずです。

ブルースはインタビューによれば、スポーツも大好きで今も毎日泳いでいて、多趣味で、少し前まではピアノもその一つという位置づけだったるとのこと。これから先も今の生活ペースを維持したいとのことです。人生に余裕ありのタイプの人ですね。

優勝 ブルース・リュウ Jan Popisヤン・ポピスさんのサイトから

反田恭平さんは入念な準備が実を結びました。4年間ワルシャワのショパン音大でピオトル・パレチニのもとで学び、あと1年はワルシャワに滞在するそうです。

ファイナルの協奏曲では聴衆の熱狂ぶりがすごかったです。実際オーケストラをもっともよくリードし、もっともよく掛け合っていたと感じました。

2位反田恭平 NIFCのサイトから

ガジェフはすごい才能の持ち主。海老彰子さんも異次元の才能と評していました。当初、ものすごく上手いけれどフレーズが細切れでナーヴァスに聴こえ、私はあまり好感を持ちませんでしたが、そうはいってもこれはすごいな!と感じました。

ものすごくたくさんの本を読み、心理学や哲学には大いに興味があるそうです。

2位 寄せてクリスティアン・ツィメルマン賞(ソナタ賞) アレクサンデル・ガジェフ NIFCのサイトから

そして今回のコンクールの最高の話題の主、ガルシア劇場を繰り広げたマルティン・ガルシア・ガルシア。すごい上手さだし、それよりも何よりも、こんなに音楽の楽しさを振りまいてくれる人が他にいるでしょうか。

ショパンとしてはちょっと。。。。と疑問を呈する人たちもいますが、ショパンの演奏は一つではありません。ショパンがどう弾いたかを知るのは大切でしょうけれども、それを真似することがショパンを弾くことではないのですから。

3位マルチン・ガルシア・ガルシア NIFCのサイトから

そして小林愛美さん。前回は入賞を逃したけれど、今回は4位。これは並大抵のことではないですよね。例えばシモン・ネリングは前回入賞したのに、今回はファイナルに進めなかったのです。

愛美さんの演奏は瞑想的で、弱音の世界に浸る音楽です。でも激しい部分はそれはそれで情熱的です。

4位 小林愛美 NIFCのサイトから

愛実さんと4位をエグゼクフォーで分けたヤクブ・クシュリク。ポーランドの期待の星です。3次予選では冴えはなかったけど、いつも安定していて確実です。マズルカ賞も受賞。

入賞者演奏会では受賞のマズルカOp.30を弾いてくれました。なるほどと思わせる演奏でした!他にマズルカの上手い人がいたかと言えば、それはもう3次予選のネーリングのOp.56でしょう。

マズルカ賞の決定は難航したそうで、一度目の投票では半分半分で決まらず、2度めも同じこと、それで審査規定にのっとってズィドロン審査委員長が2票を入れることでクシュリクに決定と相成ったそうです。クシュリクはズィドロン門下ですから、そうなったらもう確実に有利。

え??でも審査員は17名なのだから、投票で半分に割れるはずないのでは?

と思いますよね。

そこはこういうこと起こっていたのです。

アダム・ハラシェヴィチは89歳のご高齢のため、審査をして自分の評価は提出するけれども、その後の審査会議はすべて欠席で、決議は委任だったそうなのです。そうすると審査会議にいるのは偶数の16名。8対8に割れる。その場合は審査委員長が2票入れる。

その隠れた事情により、クシュリクにマズルカ賞がもたらされたわけです。

クシュリクのマズルカは、やはりポーランド人ならではの血筋の感性で弾いていて、わざとらしい曲げられたリズムもなく、自然で、ポーランドの大地の歌や、農民の踊りの光景が透けてみえてきて、何度でも聴きたくなるのです。必聴です!

4位 寄せてマズルカ賞 ヤクブ・クシュリク(ポーランド)

第5位はイタリアの粋、レオノーラ・アルメリーニ。女っぽさが溢れるばかりに漂います。

「アルメリーニの不思議」と私たちの間で話題になったこと。

1階の前方で聴いていた私やアーリンク・明美さんは、彼女のベル・カントに魅せられました。彼女にあるのは歌・歌・歌。ここまでピアノで歌えるとは、と感服したのです。FAZIOLIで響きのバランスもよく、極めてイタリアを感じました。

ところが、2階で聴いていたいづみこさんは、ソプラノが全然聴こえず埋もれていたと。審査員の海老彰子さんもそう仰っていたとのこと。

えっ?それは本当?

私の席では朗々とカンツォーネのように歌うのが聴こえてきていたので、にわかにはその話は信じ難かったです。

いくら1階と2階で響きが違うとは言っても、1階であれだけソプラノがくっきりと聴こえているのが、2階では埋もれるということがあるでしょうか。

でもそういうこともあるのかもしれません。地鳴りするけれど、上には飛んでいかない響きもホールでは考えられます。

とにかく第5位入賞を果たしたのですから、誰もがその才能を認めたということですね。それに彼女はすごく魅力的!

5位レオノーラ・アルメリーニ(イタリア)

もみあげが長いJJBui.新鮮で溌溂として、17歳の若さを余すことなく発揮していました。

ものすごく弾ける!もしかすると、弾けてしまうから深める必要を感じないのかもしれません。ダン・タイ・ソンチルドレンの一人。6位入賞後のこれからどうなっていくか。

6位 JJブイ

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