第7回MiyoshiNetピアノコンクール入賞者演奏会 楠原祥子
第7回MiyoshiNetピアノコンクール入賞者記念演奏会。カワイ表参道パウゼ。
2月11日(木祝)、MiyoshiNetピアノコンクールの最後を締めくくる入賞者記念コンサートが盛会のうちに終了しました。
ピアニストの赤松林太郎さんが本選審査中おっしゃるに、
「MiyoshiNetピアノコンクールのことはこれまで知りませんでした。」
「なに?ご存じなかった???」
と、思わず私も大崎かおる先生も眉が1センチほども吊り上り、聞き返したのでした。
ま、そうかもしれません。
「Miyoshi Netコンクール」とは、なぜこんなにわかりにくく読みにくい名前なのか!
それには、れっきとしたワケがあるのです。
三善晃先生がまだご存命の頃、コンクールの名前にご自身の名前を冠するのは避けてもらいたい・・・とたいそう控えめでいらしたのです。『三善晃ピアノコンクール』という名称に、どうしても首を縦にふって下さらなかった経緯があります。
私たち運営委員は、みな何となく釈然としないまま、しかし、三善先生が拒否なさるものをまさか押し通すことなどまかりならず、そのままわかりにくい名称でスタートしたのでした。2年ごとの開催ですから、発足して14年が過ぎたことになります。
予選課題曲は、三善ピアノメソードとバッハかまたは三善の作品を演奏。本選はメソードと自由曲です。
入賞者記念コンサートでは、第3巻部門~特別部門の『円環と交差』までの各1位、2位。連弾、特別賞の受賞者、計23組が演奏しました。
特別部門で初めて『円環と交差』が演奏されたことは評価されるべきです。これまで、『ソナタ』『アン・ヴェール』だけが演奏されてきて、この2曲は部分的にでも聴けば、「あ、三善ソナタ1楽章だ。」などと、すぐにわかるまでになりました。
耳に馴染むことが、その曲の解釈や演奏を進化させていきます。その点、円環と交差は“前人未到聖域”でしたが、小島理紗さんの演奏によってようやくこの作品の姿に触れることができました。
さて今回コンクールの新たな試みとして、1曲部門を新設しました。三善ピアノメソードに親しんでもらいたいという意図からです。
1曲でコンクールになるのだろうか・・・と正直なところ疑心暗鬼でしたが、実際に聴いてみると、その1曲に音楽が凝縮されるせいか、むしろ演奏の質にくっきりとした差がみてとれました。
第9巻、10巻部門では、私の生徒さんの加藤優佳さんが第2位を受賞し、メソード第9巻から『さざめく光たち』『仮面の踊り』2曲と、ショパン即興曲第1番を演奏しました。本選の時よりワンステップ良い演奏になりました!
その他、力石裕美子さんも入選をはたしました。
今回のコンクールで予選本選と審査し、入賞者コンサートも聴いてみて、順を追って演奏がよくなる人と、本選で予選より演奏が崩れる人がいることもよくわかりました。
さて、一番嬉しいニュースは、我らが会長の杉浦日出夫先生が復帰なさって、名古屋からいらして下さったことです!お元気な姿で締めくくりのご挨拶にステージに立たれました。
「20世紀の大ピアニスト、アルトゥール・ルビンシュタインが映画“カーネギー・ホール”の中で、1にバッハ、2にバッハ、3にもバッハと言っている。バッハも三善メソードも共通項はポリフォニーでできていることです。」と、ポリフォニーの大切さを説かれました。
長老(どうか失礼にあたりませんように!)にはその風格があり、長老のお話には真意があります。やはりこうでなくっちゃ、とそのお姿を拝見して思いました!
次回から『三善晃ピアノコンクール』と改めることに運営委員全員の賛意を得たので、これからリニューアルに向けて 進めます。今後の発展を考えた時、コンクールが林立し、作曲家の名前を冠することが常識的な今日、端的でわかりやすい名称であることが望まれます。また『三善晃』という名前を後世に伝える手段にもなります。
私たち運営委員一同、また発展のために努力してまいります。審査員、出場者、主催のカワイのみなさま、誠にありがとうございました。
来年はコンクールに代えて、2月11日に三善ピアノメソード全曲演奏会を開催いたします。
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