第9回林秀光記念コンサート開催!
東北の大震災の年に亡くなった恩師の林秀光先生。もう13年も経ってしまったなんて。。。。発表会のあとの打ち上げで、大好きなピザを召し上がりたくてたまらず、視線が私たちの前のピザを追っていらっしゃる。
しかしそうはいかない。奥様の安喜子先生が横でしっかり見張っていて、林先生が手を出そうとすると、
「あら、ダメよ。それならね、こうして上を取ってしまえば食べても平気よ。ここは私が食べるわ。はい、どうぞ!」
うーん、チーズやサラミなどが全部取っ払われて、パンの部分にうっすらソースがついているだけのピザって、ピザと言えるのだろうか。。。
お可哀想な秀光先生は、安喜子先生の口に入ってしまったとろけるチーズを横目に見つつ、三角形のパンを口に運んでいらしたのでした。
これは晩年の話で、いよいよ健康を害していらしたので厳しい食事制限がおありで、仕方がなかったこと。決して安喜子先生が👹鬼嫁でいらしてわけではありません!
お葬儀の時に、世界中に散らばった門下生からお悔やみの気持ちとして集まったお香典を基金にして、記念コンサートを開催していくことが、安喜子先生のご厚意で決まり、今年は9回目になりました。
9月20日カワイ表参道コンサートサロンパウぜで開催しました。
今回の演奏者の二人は同級生。中川佳彦さんと松山玲奈さんです。
中川さんはヴィルトゥオーゾ派!モロッコ国際コンクールで第1位。リスト賞を受賞しています。
松山さんは桐朋の管楽器嘱託演奏員をつとめ、管楽器の伴奏者として絶対的な信頼を得ています。
それで初めて知ったこと!桐朋学園において管楽器の嘱託伴奏者(演奏員)はなんと定年が36歳だそうで、えっ、そんなに若いの??と驚きました。
幅広い管楽器の伴奏レパートリーを、おおかた網羅するまでになるかどうかという時にもう定年では、いくら新陳代謝が必要とは言っても早過ぎる。。。。と思うのですが、案の定、松山さんはもうその年齢はとっくに過ぎていますが、嘱託に準じて勤務しているそうです。
さて、中川さんから演奏スタートでした。
まずシマノフスキのエチュード作品3-2。シマノフスキをして、「若くして第九を作曲してしまった気分だ」と言わしめたほど、当時からの人気曲です。低音の魅力たっぷりの演奏で、さすが中川さん、音が鳴る鳴る。
次にショパンのアンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ作品22です。
アンダンテ・スピアナートのスピアナートは、静かに平らに平静にを意味するのですが、中川さんのは巨大な音量のショパンでした。
そして最後にスクリアビンのピアノソナタ第5番。この曲は1楽章形式で、で出しから激しく揺さぶりをかけてくる曲です。これも堂々たる演奏。
やはり身体も大きく分厚い立派な持ち音で、少々のことでは崩れない安心感がありました。めくるめくような妖艶なまでの、炎と化して立ち昇りそうな情熱が感じられるというよりは、しっかりした響きで創り上げた充実度が高い演奏だと、私は感じました。
次は松山さんの演奏。フルートの泉真由さんとクラリネットの中舘壮志との共演です。
多彩なプログラムを聴かせて下さり、特に最後のフローラン・シュミット作曲フルートとクラリネットとピアノのためのトリオは、楽しく、しかも聴き応えある演奏でした。
この作品の存在は知っていたけれども、ライブで耳にするのは初めてのこと。まずトリオの組み合わせがとても珍しい。フルートとクラリネットは、弦楽器同士のように混じり合う響きの感覚は薄く、それぞれがまったく独立した音色を持ち、どこまでも複旋律のままで、その二つの異質の音色を松山さんがピアノで中和させていると言ったら良いでしょうか。
もしかすると、松山さんのピアノももう一つの異質な旋律として、激しく主張する演奏もありなのかもしれません。
でも松山さんの演奏スタイルは、2本の管楽器の澄み切った音をまとめ、引き立てる演奏で、アンサンブルピアニストとして最高に信頼される存在だと思いました!
お二人ともにブラボー‼️です。
多くのお客様にご来場頂き、誠にありがとうございます。また林先生が敬意を表してやまなかった小林仁先生にもご来聴を賜り、一同嬉しく思っています。
いつもながら、協賛いただいているカワイ音楽振興会には心からの御礼を申し上げます。
林先生の門下生の年齢も上がってきて、ライフスタイルに変化もあり、演奏者の人選もなかなか大変になってきています。
次回は第10回記念コンサートになります。フェスティバル的なプログラミングを組むことも考えに入れて、秀光会で決めていくことにしましょう。
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