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『ピアノ教師のための音楽と歴史研究会』主催のオンラインセミナーが終了。

今回のテーマはショパン『マズルカ』。そのルーツである民俗音楽としてのマズルカから、ショパンが創作したマズルカに至るまで話が尽きぬほど多岐に及ぶので、内容をしっかり選択します。

これまで私が通訳を務めさせて頂いたポーランド人ピアニストや教授陣のセミナーでも、テーマがマズルカとなると、先生方は俄然目が輝き、我が意を得たりとばかりに弾き語り続けます。

ショパン国際コンクールの審査委員長を長く務められたアンジェイ・ヤシンスキ先生もそうでした。終了予定時間10分前にホールの後方で、スタッフが「10分」とデッカい文字で書いたボードを掲げてくれます。あと10分というサイン。軽くうなずいておきます。

しばらくすると「5分」のボードが掲げられ、ヤシンスキ先生もおそらく見ているのでしょうが、まったく語りに変化なし。相変わらず嬉々として弾き語りを続けます。

いよいよ「Finish!」とボードが掲げられてもなんのその。先生は語り続け顔色一つ変えません。そろそろマズイぞと慌てるのは通訳の私です。ポーランド語で「時間が来ました」と伝えると、うん、わかってる、と頷かれますが、10分や15分くらいなら延びたって構わないと鼻っから思っていらっしゃるのです。

結局どのくらい延びて終わりになったかは忘れましたが、どの先生もそうなのです。マズルカならもっともっと語りたい!と熱く弾き語るのは、ショパンのマズルカの特殊性もさることながら、ご自身の身体を廻る血が駆り立て、マズルカの波動とぴたり重なるのでしょう。

そんなピアニストたちに鍛えられた私も、こと「マズルカ」についてとなると、話題が尽きないことにある時気がつきました。ポーランドの先生方から吸収した知識を基に、自分で弾いたり、本を読んだり、考えたりして、私なりに内容を膨らましてもいます。

さて、録画の制作は二本立てでいくことにしました。

まず解説部分は、Keynote(アップル版のパワーポイント)で映像を作成します。内容は、

1、ショパンが用いたマズルカリズムを持つ3種類の民俗舞踏について

2、ショパンのマズルカ創作の原点

この2点に絞ります。画面の作成が楽しいので、あっという間に70枚くらいになってしまいましたが、これでは規定時間におさまらないので、抜粋の短縮バージョンにして2つのパートを30分以内で収めます。

こんな表紙からスタートです
資料として使えるように参考になるサイトも紹介
最後には裏表紙もつけます

画像も多く用います。短時間で画面を切り替えるので、視聴者の方々が文字を読み取るよりも、直感的に頭と心で受け取ることができるからです。

これらをスウィッチャーを使って、画面を画像と私自身とを切り替えながら進めていきます。Zoomを使用するので音質は落ちてしまいますから、演奏は入れず解説のみにします。

今回一つわかったこと。

純正品をリスペクトすべし!やはり確かなのは純正品。

・・・と認めなければいけないことが起こったのです。

iPadで作成した画像を送るために、USB-cタイプとスウィッチャーのHTMLを繋ぐ変換ケーブルを買いに行き、最初は適度に安い非純正品を買ったら。。。

愕然😭映らなかったのです。iPadプロ12.9インチ対応と箱に書いてあったのに!

再度○ックカメラに行き、Appleの人に話を聞いたら、高いけれども純正を買った方が確かだと仰います。

⇨👀この人買って欲しいからこう言ってるのかも、と疑る心も芽生えましたが、とにかく時間との戦いで、映らなかったら一大事だからと、Appleの純正変換ケーブルを買います。非純正品の3倍ものお値段( ; ; )

そうしたら。。。

魔法のように?!映ったのです!!やっぱり純正品は純正品。

Appleの人の話では、箱にiPadプロ12.9インチ対応と書いてあっても、映らないことはままあるとのこと。

とにかく、高かったことは頭から追い出し、満足したワタクシ。😊

話がそれましたが。。。

解説部分とは別に、演奏部分はiPadプロで録画どりします。映像もきれいだし、音質もそれなり良いので、一人でも収録が難なくできて、世の中本当に進みました。

この動画は2本作成します。まず作品7−1、作品24−1の2曲を例にして、マズール、クヤヴィアク、オベレクの3種類の舞踏をショパンはどのように用いているかを弾いていきます。

もう一本は、ショパンのマズルカの中に数々出てくる、民俗色の濃い部分に特化します。民俗楽器の音色を模した部分、ユダヤ人の旋法を用いた音階、それから舞踏を模した部分として、踵を床に打ち付ける音、楽師の楽器の音と歌の掛け合いなど、マズルカ独自の性格が顕著に現れている部分を弾いて録画します。

主催者の渡部さんによればきれいに録画できていたそうです。

というわけで、途中あわあわもしましたが、無事にマズルカセミナーも終了。

コロナ禍の落とし子。

コロナ禍もようやく収束を迎えつつあり、マスクなしで自分の顔を見せて歩ける日々が戻ってきました。口紅もやっと復活。気持ちアップ⤴️です。

このコロナの期間に世の中は移り変わり、生活の違う側面を私たちは知りました。以前とは違うスキルを身につけ、情報伝達の方法は多岐に及ぶことも知ったのでした。

こうして得た新しいスキルは、これから桐朋の講義やセミナーで生かしたいと思います。プレゼンテーションの良し悪しも内容に大きく関わるでしょう。

19世紀ヨーロッパでは、スペイン風邪、コレラと疫病によって多くの死者がでて、おそらくは貴重な才能も多く失われ、生活形態の大変革もあったでしょう。

そんなことは19世紀の話で、現代社会に起こるわけがないと思っていたのが、足をすくわれたかのように、21世紀に地球規模でのパンデミックを経験することになりました。

そう、ショパンは身体は弱かったのにそれらはうまく切り抜けたのでした。周囲にいた友人たちや優秀な弟子などの多くがコレラや結核で命を落としているのに。

故郷の友人ヤン、パリで一緒に暮らしたマトゥシンスキ、婚約までしたマリアの兄のアントニなど、ショパン自身も人生の終末を迎えようとする30代後半になって、先に逝ってしまった彼らの魂にすがらずにはいられないほど寂しさに苦しんだのでした。

歴史はくり返す。。。ショパンの日々に思いを馳せながら、また今日もマズルカを練習することにしましょう。

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