Duo Granat リサイタル ~本番編 楠原祥子
8月23日(日) 19:00 ポーランド ルブリン旧市街の大法院ホールです。タマラとのデュオリサイタルがいよいよ本番を迎えます。
ドレスに着替える時、いつも何とも言えない気持ちになります。タマラは赤、私は青のドレス。
いろいろな気分が交差するのです。早く着替えし過ぎると、身動きが不自由になって窮屈だったり、シワが出てしまうのではと心配になったりします。
しかし一方では、ドレスになった時にスッと本番のスイッチが入ります。袖を通した時の緊張感、心臓のドキドキはあって当然のもの、それがあってこその本番なのだと思えるようになりました。
19時きっかり。まず、ヴィエニアフスキ協会プレジデントのテレサ・クシェンスカ教授が、コンサートの挨拶と今日のプログラムの解説のためにステージに出て行きました。
さぁ、そして私たちの出番です。
Philipp Scharwenka シャルヴェンカのポロネーズとタランテラでスタート。
ポーランドでは、プログラム冒頭、ポロネーズから始める習慣があります。これはもともと、19世紀の舞踏会のオープニングは、ポロネーズで始まったことに由来します。王宮、貴族、士族の館で開催された舞踏会で、男女のペアが行列を成して広間に入場する際の音楽がポロネーズだったのです。
ポロネーズが終わってタランテラに入る時、タマラが私の耳元でそっと「ゆっくりめにいきましょ。」と囁きます。猛スピードで弾くつもりだった私は、はやる心を抑えて、「Tak」とうなずいて、慎重なテンポを選びました。
セコンドの大きな役目の一つは、テンポを作り、制御することですなのですね。
続くザレンプスキの作品は、ヴィデオ撮影にも使ったこともあり、練習を積んだので、この段階ではそれぞれの舞曲のキャラクターを演奏に出すことが出来たと感じました。
Friedmanフリードマンの5つのワルツは、サロン風仕立ての作品で、まだその良さを充分に引き出すには至らず!タマラは上手に揺らすのですが、私に自由さがまだ今一つでした。
Moszkowskiは曲をよく知っていたことがプラスに作用し、想像以上にお互いに沿うことができました。
すべてのプログラムを弾き終えて、タマラのリードがあってこそ、私にとって初のデュオリサイタルを遂げることができたのですから、心から感謝したい気持ちになりました。
そして、客席の後ろの間にまで入った満席のお客様の拍手を頂きながら、タマラとのデュオを、これを第一歩として発展させていきたいと思ったのでした!
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。