ジョルジュ・サンドという女 ~ショパンの手紙を読みながら 楠原祥子
第3回ショパンの手紙を読みながらコンサート
~マジョルカ島からノーアンへ ジョルジュ・サンドという女の存在
1月30日(土)18時開演 千葉市美浜文化ホール音楽ホール
ショパンとジョルジュ・サンドの手紙を朗読しながら、24の前奏曲、ショパンソナタ2番、バラード3番、スケルツォ3番、即興曲2番、軍隊ポロネーズなど演奏していきます。朗読は俳優の森山太さん。オペラの演出も手掛けて声楽家とのコラボも多く、シリーズで共演頂いています。
今回のハイライトは、マジョルカの修道院で“24の前奏曲”を作曲する光景。サンドによれば「彼が謙虚にも『前奏曲』と名付けた、短くともこの上なく美しい曲。」
この曲集は現代にあっても理解に手強い作品で、どれもが瞬間的でスケッチか詩の断片のようです。
謙虚にも『前奏曲』と名付けた。。。。というくだり、ロマン派が到来したばかりの時代にあって、ショパンの指から真珠のようにこぼれ出る新作を、これほど深い理解を示すことができたのは、ジョルジュ・サンド、そしてシューマン、リストといった天才たちだけで、サンドの進歩的で深い理解こそが、ショパンの創作のもっとも大きな支えだったでしょう。
専門分野が違っても、審美眼やセンスが同じ域に達していると同じ見る目を持つことになる。画家のドラクロアとの親交は、一流趣味とか安っぽい好奇心ではなくて、精神が同じ域に達した仲間だったということなのですね。
それにしてもジョルジュ・サンドは・・・
気高く、19世紀にあって新しい女で、ペンをにぎり、恋多き女で・・・
彼女が手紙をやりとりした相手は2300人に達し、それはみな彼女を取り巻いた第1級の芸術家や思想家、学者、詩人、ジャーナリスト、政治家、亡命者だったそうで、出版されている書簡集だけでも23,000通以上の手紙が残っているというのですから、すごいの一語!
対してショパンは・・・
社交界では陽気で優しく魅力的だったけれども、私生活では病人で、妄想にとらわれ、不安に打ち勝てず、手に負えない男だった。
それでもサンドは、ショパンという天才だけに生み出せるピアノの音の魔力に魅了され、虜になり、その才にひざまずいた。。。。 その女心がよくわかる。
私もその一人だわ、と。自分には達することのできないものを見た時の、衝撃と尊敬の念が、愛に変わることを私も知っているように思うのです。
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