深谷ますみのパリ通信 2 ~ パリでchef de chant ~
気がつけば8年目を迎えるフランス、パリでの留学生活。
2年間ピアノソロをパリ市立音楽院で学んだ後、伴奏科という学科に興味を持ち現在に至ります。
どのような伴奏で楽器奏者や歌手たちを支えていくことができるのか、ということを学ぶため、 授業では初見、移調、オーケストラ譜の読み方、通奏低音の基礎を学び、後はそれぞれ必要な場面に応じて対応していくといった感じです。
現在私の通っているパリ国立音楽院では、大きく分けて3つの伴奏クラスがあります。
楽器奏者の伴奏を主にする科、フランス、ドイツなどの歌曲を学ぶ科、そしてオペラのレパートリーを学ぶ科です。
私は歌曲クラスを3年前に卒業し、現在はオペラを学ぶクラスに在籍しています。
歌はすこし特別な楽器です。
まず、他の楽器と大きく違うことは、自分の身体から鳴らすことと歌詞があることです。
身体から音が鳴るため、彼らは客観的に自分の音を聞くことが難しいのです。
録音した自分の声を聞いてみて、「わ!なんだ、この自分の声!」と、普段耳から聞こえてくる自分の声との違いに驚いた経験はないでしょうか?
それと似ていて、歌手たちは誰かに自分の声を聞いてもらい、アドバイスを必要としているのです。
私の在籍しているクラスは、必要とされたときに的確にアドバイスをして、音楽創りをお手伝いできるスキルを身につけるクラスなのです。
また、歌手がテクニックをつけるため、試行錯誤しているうちに歌詞を間違えて覚えてしまったり、発音を間違えたりすることがあるため、これを正し直すのも私たちの大事な仕事の1つです。
他にも色々あるのですが、歌手を対象として、音楽創りの一部を担う仕事をするピアニストを『コレペティートル』と呼んでいます。
フランス語では『シェフドゥション』(歌の指導者という意味)と呼びます。
歌手たちと勉強を始めて早いもので6年目。
最初、歌の伴奏はどちらかというと苦手な方で、まさか自分が歌手たちと一緒に勉強していく方向を選ぶなんて夢にも思っていなかったのですが…人生とは何があるかわからないものです!
深谷ますみ
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